
シグマロジスティクス株式会社 人材開発部 執行役員部長 松田 満 氏
松田 : 我が社は1980年の設立以来、物流アウトソーシングや人材派遣など、サプライチェーンマネジメントにおけるロジスティクスの部分を幅広く手がけています。中でも、創業5年目から続いている大手飲料メーカー様との事業、具体的には自動販売機のオペレーションや卸の配送業務が、現在の主要事業となっています。最近はそこで得たノウハウを活かし、他メーカーでも同様に工程単位もしくは全体におけるロジスティクス業務を展開しており、おかげさまで業績は順調に推移しています。
松田 : メーカー様のロジスティクス事業においては、当社だけでなく、いわゆる3PL(サードパーティー・ロジスティクス)が何社も入っている場合が多いです。その中でお客様に高く評価いただけるのが「人材」のところです。我が社では非常に手厚い人材育成を行っていると自負しており、いい人材が揃っていることが我が社の大きな特色になっています。
中途採用などで入社された方々には、最初の1カ月の間に4回の研修を実施しています。具体的には、雇い入れ前の研修、配属前の研修を行った後に、配属後2週間でまた集まってもらい研修を実施し、さらに配属から1カ月後にも研修を実施します。
配属前に基本的なことをしっかり学んでもらうとともに、働き始めてからのいろいろな不安を解消するために、会社側として手厚くサポートを行っています。ここ2年ほどは新型コロナウイルスの影響で実施できていませんが、配属して1年後、2年後にも研修プログラムを用意しています。これらを通じ、働く皆さんが少しでも安心できるようにと考えております。
実は私は昨年11月にシグマロジスティクスに転職するまでは、先ほどお話しした飲料メーカー側におりました。シグマの人材が非常に優秀であることは当時からも知っていましたが、これだけ手厚く育成を行なっていることを知り、納得したんですよ。
松田 : 我が社では、「人材を『人財』に変え 人に価値をつけて評価することにより新たなる雇用の機会を創出する」という経営目標を掲げています。つまり、創業以来「人」を大切にする文化が根付いており、それが採用にも育成にもしっかり反映されているというわけです。
私なりに「人材を『人財』に変える」というのがどういうことか考えてみました。まず、「人材」とは、ヒューマンリソースといわれているもので、「仕事をする上で役に立つ能力を備えている人材」と定義しています。原材料の材であり、それがなければ何もスタートしないという意味で、我々がこの事業をやるにあたって絶対に必要な人たちだということが言えます。
一方、「人財」とはヒューマンキャピタルやヒューマンアセットという表現ができるもので、人を「資産」と捉えることだと考えています。つまり、「人材を『人財』に変える」ということは「人的資本経営」を取り組むことと同義であり、財産であり資産である人材を大切にしながら経営を行っていくことだと考えます。会社として人に投資することで、個人も、企業も価値が向上し、新たな利益を生むことにつながるという考え方です。
我が社は今年、新たに「人材開発部」を発足しました。これまで別々のセクションで行っていた「人材採用」と「人材育成」を1つの部署にまとめることにより、「人的資本経営」を一枚岩で行えるような環境を整えました。より強い人材・「人財」を作るために、効果も効率も高めていきたいという経営の思いをあらためて形にしたのです。
松田 : その通りです。常々「人が生命線である」と考えてきましたが、それを「より一層」推し進めるための体制を整えたということです。我が社では人材育成において専門性、自主性、社会性、倫理性の4つを大切にしています。この4つが備わった人材をいかに増やし、我々の事業を通じて社会に供給していくか、それが人材開発部の使命であり、人材開発部を任された私自身の使命でもあると考えて、真剣に取り組んでいきたいと思っています。
松田 : はい。これは私の解釈ですが、我々が主要事業として手掛ける清涼飲料のビジネスは「子どもから大人まで、すべての人がお客様になるビジネス」です。言い換えれば、お子様からお年寄りまですべての人に商品選択の権限があるということ。こんなビジネスは他にはないと思っています。我々の仕事はすべての人たちにとってなくてはならないビジネスであり、だからこそ責任感が伴うものだということをしっかりと自覚し、取り組んでいきたいと考えています。