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日本を元気にする企業 「日本を元気にする企業」は、
人、技術、自然、食、教育、医療など様々な分野で活躍している企業を
クローズアップして紹介する企業応援サイトです

新しい方向へ進んでいく力には?
企業も社会も再定義とサステナブルな考えが重要

野村 : 私は以前東京を中心に活動をしていました。なぜ、京都に活動の拠点を変えたかというと、京都市役所の人たちがすごく面白かったことに加え、京都の企業には長期的に考える経営者がとても多いと感じたからです。歴史的にも長く、創業何百年という企業も多く存在するわけです。
東京ですと、「大儲けできる企業がないといけない」という前提があって、極端な話、京都は小遣いを持っていなくても、豊かです。国宝みたいなのがゾロゾロあるわけですし、景観もいいし、遊ぶのにあまりお金も必要でない街ではと考えています。あまり可処分所得を上げようという発想を街全体が持っていないのではと個人的には思います。
つまり、より多く儲けるということに対して、あんまり興味がない方が多いような、どちらかというと、適切に儲けて、適切にお金を回していって、うまくやる人が偉いというのを感じます。私みたいに、外から入ってきた人に対しては、3年位みんな様子を見ていて、「ちゃんと長いことやっていく気があるのかな?」というのを見極めて、仲間か判断する。ですので、最初はコンサバティブに見えるのですが、長期的に見るとすごくイノベーティブなのではないかと思っています。

例えば、今、「京都をつなげる30人」というプログラムをやっていて、そのメンバーの中にある信用金庫さんが入っておられます。彼らは金融機関にも関わらず、真面目に「お金に頼らなくても豊かになる社会をつくりたい」と言っています。確かに信用金庫って、そういうスタンス・ポジショニングをとるのは正しいなと思いますが、とはいえ、そういうことを真面目にいう会社って中々ないわけです。
他には、アパレル会社で、そこの会社は社員の給与が減っても、社員が豊かになる会社になりたいって、事業として農業を始め、社内販売で買えるものを増やすといって実施しています。さらに他の会社と社販アライアンスを組んだら生活がより豊かになるのではと考えているわけです。

「ジレンマを乗り越える」というのは、前提が「経済成長ありきの私達の幸せ」、その前提を乗り越えようともがくこと自体が、そもそもサステナブルではないということが分かってきて、それは、明日急にコロナ禍が消えてなくなったらいいなと同じくらいの幻想と同じわけですね。
しかし、前提が変わって、前提は無限の資源を使って成長する時代ではなくて、我々が持っているものをどういう風に、もっとうまく使って、「我々一人ひとりが豊かになる社会を創っていくか」、その時、「企業は何をやりきるのか」ということを考えるのがこれからは重要ではと考えています。

これは、SDGsの本質だとも考えています。すると様々な良いことがあって、例えば企業はサステナブルな仕事をするのが、実は一番効率が良いということが分かってきます。最も持続可能なやり方というものを、決めて、社員の働き方、お客様へのお願いの仕方というのをしっかりやると、この会社はやっていることが無駄のない組織に変わっていくことができる。こういうことを実践している会社は老舗なんじゃないかと思うわけです。なぜなら無理していたら潰れてしまうわけなので。きっとそういう知恵を持っているし、これからの企業のひとつの方向性ではないかと思います。
日本では人口減少の叫ばれている中で、つまり発展しない市場で様々な企業が戦っている。四季が豊かで文化が豊かな国で、この豊かさをもっと大事にするということをビジネスの基本にすることを本当はできるのではないかと考えています。

コロナ禍での個人・企業・社会の考え方

野村 : 2020年はコロナ禍での状況で様々な変化がありました。ご苦労を多く抱えている方も多いとは思います。しかし、前提を変えることで前向きに捉えることもできます。仮に、神様がいたとしたら、様々な今までの考え方にNOを突きつけてくれたのも事実です。
例えば、「みんなで大勢集まると良いよね」とか「大量に集客するといいよね」という今までのマスマーケティングに対して、そのようなことができない状況になってしまいました。しかし、みんなが自分らしい場所にいて良いわけで、場合によっては「そんなに成長しなくても良い」、「家にいるだけで家族といるだけで幸せだ」と気づかせてくれたりとか、そういう一人ひとりの豊かさを考え直すきっかけを与えてくれたと思います。

東日本大震災の時、日本の成功の定義が変わると信じて、それまで勤めていた会社を辞めて起業したのですが、その時は、成功の定義を変えずに元に戻すという力がものすごく強かったと思います。それは、やっぱり一過性の事象だとみんなが思ったからだと思います。コロナ禍はこの先も続くかもしれないというのが、未来を今変えなくてはならないということを突きつけられているのではないでしょうか?

前提は変わるのだけども、ファストとスローの話でいくと、ファストフードとスローフードが単にスピードの違いを表すのではないのと同じで、経済成長しているほうが儲かっていて、させないほうが儲かっていないのではなくて、させないと決めたほうが利益率上がるっていうことです。
要は、企業は、成長のために余計なことを多くしているわけです。例えば、市場がないのにマーケティングするみたいな無駄なことをやっているわけです。そこを変えていく。これからは、前提自体を考え直す良い機会だと思います。未来に向かっての様々な定義をして、そこに向かってどうしていくか?ということを新しい価値観で、動いていこうということが更に重要だと考えています。

自然も社会も企業も基本は同じ

澁谷 : アーユルヴェーダでは、自分が見ている世界は、自分自身・自分の中を変えることによって世界が変わるといった考え方があります。今、野村さんがお話された社会のあり方とか、これからの日本とか、全部肉体にも置き換えられて、一方的にある方向のみに偏って物質が動くと、調和が崩れ、どこかが偏って、過剰になったり過少になったりします。
人間の細胞のほとんどは、一年以内に寿命を終え、新しい細胞に情報が引き継がれるわけです。苦しみも引き継がれてしまうのですが、溜まって淀んだところに、いくら良い薬や物質を入れても、さらなる淀みに変化して、前より悪くなります。しかし、細胞が更新される前に、淀みを掃除すると、摂理にあった本来の姿に戻ります。その上で、強化し、再設定する事ができれば、どんどん生きやすくなるはずです。新しい形の情報に、パターンを変えてしまうことが可能なのが人間です。

しかし、よくない習慣が染み付いていると、パターンは変えられず、何倍も労力がかかり無駄が多くなります。例えば、自然の摂理において、軽い性質の早朝に起床すると目覚めやすく、1日活動しやすいが、それを過ぎると重い性質の時間帯に入り、二度寝したりして、起床に何倍もの労力とエネルギーが必要で、効率が悪く無駄です。この習慣が長年染み付いていると、やがて不調になり、その不調を補うべく対処方法を付け足していきます。溜まりに溜まったある日、原因不明の病に見舞われるかもしれません。誰でも朝になれば目覚めるので、そのタイミングの重要性を気にも止めません。大前提である早く起きるという、根本解決は思いつかなくなります。このように、当たり前な摂理を知っていても、人体に応用できないと、変わることはできません。普段思考停止していることや、見失っていたもの、知っていると思い込んでたものを、再認識する必要もあるかもしれません。

私もずっと東京で活動していたのですが、コロナ禍とはあまり関係ないですが、父が90歳で一人暮らしだったので、現在、兵庫県豊岡市で暮らしています。そこは、京都府と兵庫県の県境で、限界集落になっています。住んでいる方もほぼお年寄りで、父もこのあいだ柳の木に登って、ほぼ全部の枝を切ったりしていて、みなさんすごく元気です。やっていることとか聞くと「歩く」とか「早起き」するとか、「乾布摩擦」とか、アーユルヴェーダが健康でいるために提唱していることを昔から日本でもやっていることが分かりました。

野村: 面白い話があって、僕は知り合いで、オフグリット生活をやっている人がいて、遊びに行ったんですね。ちなみに、オフグリット生活とは電線を家につないでいないことをいいます。裏の物置に中古のバッテリーが一杯置いてあって、太陽光発電の電気を蓄えて暮らしているっていうから、もう恐る恐るでした。そうしたら、本当にきれいな家で、冷蔵庫もあるし、電子レンジもあるし、テレビもあるし普通に生活しているわけですよ。晴天の時はいくら冷房とかつけてもそれはもう循環しているだけなので問題ないのだけれども、3日間くらい雨が続くと、少しずつバッテリーの残量がなくなって来て、電池が減るからとにかくもったいないと思うらしい。電気を使うのがもったいないから早く寝ようと。そしたら、それまで体調が悪かったのが全部治っちゃった。知り合いは、「電気とオフグリッドして、太陽とリグリッドできた」という言葉で自然との調和の重要性を語っていました。

2021年の目標は、今までの延長にアレンジを加えて実現

野村 : 「つなげる30人」というプログラムをずっとやっていて、「渋谷をつなげる30人」から始まって、渋谷は5年目なのですが、地域の中のステークホルダーを30人集めて、その人達が、一緒になって、信頼しあって、その中には行政の方もいて、NPOの方もいて、様々な企業がいて、一緒になって、お互いの強み、リソースを使って、「渋谷をつなげる30人」は渋谷の未来を作ろうというプログラムになります。それを去年から京都でも始めて、名古屋でも始めて、今年、横浜と町田も始まっています。

「つなげる30人」のプロジェクトは、今まで地域の中でそれぞれがバラバラでやってきていたものを、それをそれぞれの間の信頼関係で統合していくという作業になります。京都でも様々な活動をしっかりとやっている人はいますが、そうなると自分だけで頑張るじゃないですか。似た活動をしている人達を嫌うというか、近いことやっているから一緒にやればいいのに、差別化しちゃう気持ちが働いちゃうというか、そういうことにならないように。そういったそれぞれのリーダー的な人を訪ね、その組織の若い人を推進してもらい30人の中に入ってもらって、その人達を本当の友達にしちゃうことを行います。お互いの夢を、「私は組織では、こうなのだけど、本当はこんなことがしたい」とかそういう話をみんなで行います。
そうすると、「本当にこの人は何がしたい人で、組織にはこういうリソースがあるから使える」とか、「自分が勤めている会社は、こうやれば動く」とか、みんなが話しあって、そこからプロジェクトを起こしていくということをやっていくようになります。

澁谷さんの話にも通じるかもしれませんが、その中の個人が、「私はこういうことを本当はしたいんだ」、「本当は自分の会社にも役立つはずなんだ」という思いを持ち寄るわけですよ。そうすると、一人で提案していたら、「そんなことやったことないからだめだよ」って言われていたのが、「こういう企業と組むとできます」とか、「行政も応援してくれますよ」、とかそういう話ができるようになってくると具体的な形になっていく。
それを一過性で終わらせるのではなくて、渋谷は5年で、京都は2年で、名古屋は2年で、これからもずーっと続けていきます。私自身、そのような活動をやりたいと言っていただいた地域には、「10年続ける気がないとだめですよ」といって、長期でやるんですけど、まだ形にもなっていない物を話し合える仲間が色々なセクターにいるということを各地で作っているんです。

それを海外でもずーっとやりたくて、スイスで立ち上げようとして、チューリッヒでイベントを実施しました。2020年は、ニュージーランドでやる予定だったんですが、それがコロナ禍で行けなくなって中止になってしまったんですが、2021年、スイスの一つの都市で実施できるということもあり、国際NGOを立ち上げようと考えています。世界中でこういったことをやりたいという人達に方法論とスキルを提供できるような形を作って、日本の中で広がってきている事例を、国際NGO通じて、世界中に広げていくということを行っていきたいと考えています。コロナ禍でオンラインが当たり前のようになってきていて、海外に行かなくても、ある程度できるっていうのもありがたいです。

澁谷: 今まで12年くらい全国を回って活動していたのですが、3年前くらいから活動をオンラインで実施しようと準備していたところにコロナ禍がやってきました。準備が良かったのか、2020年、東京から限界集落に拠点を移すも、インターネットを通じて、全国にスクーリングができました。

現在住んでいる実家は、江戸時代に建てられた古民家です。登録有形文化財になる予定で、16部屋もあって土地も広いんです。それこそイノベーションではないですが、これからの社会を考える場所にしたいと思い、地域や行政に働きかけをして応援を頂いてます。この場所は生命科学研究所とし、健康を自らで守る「セルフメディケーション」をテーマとしています。

健康で生きがいある人生を目指す、道場、治療院、研究所の側面があります。具体的には、ヨーガとアーユルヴェーダをベースに、心身の養生・浄化・強壮などの合宿を行ったり、大自然に恵まれた環境での食生活や薬草学などの実践的な学びの提供。アーユルヴェーダを取り入れた鍼灸治療や統合医療との連携活動などです。その他、薬草・微生物・鉱物などについての様々な研究も行っています。今後の新たな活動は、アーユルヴェーダという自然をベースにした考え方で、女性の社会活動や、企業の健康といったことをテーマにコンサルティングをしたり、元気なお年寄りの知恵をアーユルヴェーダ的に分析し、次世代に伝える橋渡しができればと思っています。

左から)野村 恭彦 / 澁谷 るみ子

撮影協力
GARDENLAB KYOTO

野村恭彦さんが経営されているSlow Innovation株式会社の京都拠点を置かさせていただいております。ガーデンラボは仕事に集中でき、他の利用者と交流できる居心地の良いコワーキングスペースです。海外のスタートアップを紹介いただいたり、「京都をつなげる30人」にも参加していただき、様々な日本企業やNPOとの「持続可能な京都づくり」に向けた協働の場になっています。

1階はカウンター席とソファーがあり、ゆったりと落ち着いた雰囲気です。2階はデスクと読書コーナーがあり日当たりも良いので、集中して働くときにオススメです。
静かな空間の中で美しいもみじの風景を見ると心が落ち着きます。これまでの一般的なオフィスとは異なる理想的な仕事場です。
利用者様の日本と国外との営業のお手伝いや、プロジェクト開発のコンサルティングも提供いたします。

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